ラビット・エクスプロージョン
どうも皆さんこんにちは。来年のことを話したら鬼に笑われた男、ineedadrinkです。
さてさて、大変お待たせいたしました。
今日のレビューですが、またしてもスポンジです。
おっと!読むのをやめるのはまだ早いですよ。今日ご紹介するのは、そんじょそこらのスポンジじゃありません。
今では、ロスト・テクノロジーとなってしまった、テンヨーのアイテム、「ラビット・エクスプロージョン」です。
現象:
マジシャンは、一羽のウサギを取り出し、観客に握ってもらいます。
おまじないをかけると、ウサギは二羽に増えます。
さらにその二羽をもう一度握ってもらうと
今度は四羽になって出てきます。
出てきた四羽を集めたマジシャンは、それを自分の手の中に正々堂々と握りこみ、こう聞きます。
「今、手の中に何羽入っていると思いますか?」
観客が「4」と答えると、マジシャンはゆっくりと手を開きます。
すると
手の中からは、40羽ものウサギが飛び出してくるのです!
「マジックの父」と讃えられたマジシャン、ダイ・バーノンが来日した際に披露されたトリック。加藤英夫考案、純日本産、バリバリメイド・イン・ジャパンです。
そのあまりのインパクトに、列席した人全てが驚き、タネン社のオーナーであるトニー・スピナ氏はその場で販売契約を申し入れたといういわくつきの一品。
常識では考えられない数のウサギが手の中からあふれ出て来、相手に握らせてももちろん全てを握るのは不可能です。まさにウサギ爆発、看板に偽りなし。
これぞ思考の密室。クライマックスとしてこれ以上華やかなものはちょっと思いつきません。
しかして、「ロスト・テクノロジー」と銘打っている通り、このトリック、現在では販売されていません。
理由はわかりませんが、俺がスポンジに興味を持ったころには、すでに取り扱いは終わっていました。
その信じられないクライマックス、現象の素晴らしさを諦め切れない俺は、某店に電話。緊張に震える声で、在庫はありますか、と聞くと、
「うーん、たぶん倉庫に眠ってたはずだから、調べてみるわ。また電話します」
の返事。2、3日後、かかってきた電話をとると受話器の向こうから気さくな声が、
「一個だけありましたよー。どうします?」
そんなの、買うに決まってるじゃないですか。
ただ問題は値段です。このころ、闇ルートwでは定価の数倍で取引されていましたので、吹っかけられたらどうしよう…しかし欲しいし…。などと考える俺。値段を聞きます。
「あの、いくらくらいですか?」
電話の向こうでは、何かをいぶかしむ雰囲気。
「いくらって…え?値札どおりですから、5250円ですけど」
なんて汚れてるんだ俺は。
結局お礼を言ってそのまま注文し、子供のように荷物の到着を待ったのです。受け取ったときは嬉しかったなあ。
さてさて、トリックの説明に入りましょう。箱を開けると中には山のような40匹のウサギと、それになぜかミスターラビット君が。
他にも入っているものはあったのですが、秘密にしておきます。
気になる難易度ですが、簡単です。ミスターラビットと同じく、信じられないクレバーさ。もちろんその方法もばっちりと解説書に記載されています。超親切設計。
とある理由で練習回数は少なくなると思いますが、そんなときにもミスターラビット君が大活躍してくれます。
誰相手に演じても嬉しい悲鳴を聞くことが出来ます。手からモサモサとあふれ出る様子はまさに現代版魔界村。自分でやってても気持ち悪いですからね!
中のウサギたんは、素材が一昔前のもので、今出ている「ミスターラビット」のうさたんとは色も柔らかさも違います。今のものの方が良いのは言わずもがな。
しかも箱に長年入っていたためか、すでに奇妙な形でつぶれ固まっているウサギが数羽。「ミスターラビット」のうさたんと総入れ替えも考えましたが、まだ実現していません。
バーガー翁のトリックと似ていますが、バーガー翁が相手の手の中で現象を起こすのに対し、ラビット・エクスプロージョンは自分の手の中で現象が起こります。バーガー翁は相手の手の中で現象を起こせる長所と、数の限界がある短所。ラビット加藤は相手の手の中で現象を起こせない短所と、驚異の数が湧き出てくる長所。一長一短です。
しかし、どちらも世界最高峰。こんなの目の前で見せられたら、どんなデルモ風ナオンちゃんだって一発でコロリですよ!
もわもわもわわ~ん
ナ「すごいわineedadrink!あたし手の中でウサギを増やせる人って大好きなの!」
俺「いやあいやあ。これくらい楽勝だよ」
ナ「ねえ、もう一回見せて…」
俺「いいけど…それよりも、今度は俺と君との間で、ウサギじゃないものを増やしてみないかい?そう、たとえば家族とか」
ナ「まあ、ineedadrinkったら」(と頬を染める)
俺「俺は本気だぜ…今夜、決めよう」(と取り出すホテルのルームキー)
ウェイター「お客様、カクテルをお持ちしました」
俺「え?頼んでないですけど」
ウ「あちらのお客様からです」
首を向けると、そこには鬼の姿が。
鬼「よう」
俺「うっ」
鬼「そいつはあたいのおごりだ。まあ飲んでくれや」
ガクガクブルブル
鬼「手を握って、開くと、ウサギが増えてるんだよな」
俺「う、うん、そうだけど…」
鬼「あたいはもっとシンプルだ。手を握って、そのまま」
俺「そ、そのまま?」
鬼「これで準備完了。増えるのは出血の量だ。覚悟はいいな」
ギャー
難易度…★★☆
効果 …★★★
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